久しぶりに虹を見せて貰った。

 

昨晩から、この地方でも凄まじい風が吹き、時々激しい雨が降った。雨が一段落するのを待っていたら、八つどきになってしまった。

食料を仕入れに…と出かけた時には、まだパラパラと降っていたが、道行く人は傘を広げていない。

不審に思ったが、区画の北側の歩道を南に曲がってみて、皆が傘を畳んでいるのに納得した。傘がしなる程の風が、細かい雨を吹きつけてくる。

 

路上には、風にもぎ取られた樹の小枝や葉が、大量に散乱してタイヤに踏み潰されていた。哀れハクウンボクの蕾は、まるで何かの小さな実のように、ばらばらと歩道に転がっている。

 

風に向かい垂直に近い程に傘を寝かせ、時々前方を確認したながら歩く。スーパーに立ち寄った後、雨が止んで傘が畳むと、先程まで輪郭がわかる程度だった太陽の、日が射してきた。

バサバサのポンチョをまとめながら歩いていると、うめ爺! と呼ばれる。ん?この呼び方をするのは、ももたろう まるるん しかいない。

ほら、こっち見て! という声のままに、まず太陽を向き、反対側を見ると虹だ…

淡く幅広く、だが切れ目ない円弧で、比較的低い位置に見えた。おお…マスクの下で思わず唸ってしまった。