久しぶりに虹を見せて貰った。(続き)

 

その時向かったドラッグストアは、東側が広い駐車場で空を見渡せる…と急いでみたが、荷物もあってもどかしい。一区画北側の駐車場にたどり着いた時には、七色の帯は急速に薄れ始めていた。

それでもまだ、欠けのない円弧を描いて、それじゃあね…と掻き消えてゆく。残ったのは一面灰色で、濃淡の雲が流れる東の空。少し北にふった西の太陽は、厚い雲に隠れたらしい。

ドラッグストアには自由に使えるラウンジがあり、買い物を済ませてから少し休ませて貰う。 東側は全面ガラスで、ここに座ってあの虹に逢えたらよかったな…と。

 

だが、駅に向かって歩きはじめると、また不思議な巡り合わせが待っていた。

再開発で、駅の東側から北側の古い建物が取り壊され、次々と更地になっている。その南側を歩くと、北西低くに沈もうとしている太陽が、雨上がりの空に強く射してきた。

多分この先も、この光景を見られる日は来ない。すぐさま建築に取りかかり、高い鉄板の囲いができる。

今あの位置の太陽と空は、今の更地とその先のビルの間が広々と空いていなければ、見えないのだ…

白銀の雲というけれど、本当に掛け値なしに銀色…としか云えない雲があった。