昨晩は十三夜だった…(その1)
日没が早くなり、満月近くなった月の出もはっきり見える。
昨晩は公共施設のエントランスにたどり着いた時、あぁあのビルの上に月が昇ってくる時刻だなぁ…と東側のガラス張りのベンチが並ぶ場所に移動した。
南東の空は暗いながらもグレーに見えて、昇って来るはずの辺りのバスターミナルの上には、濃いグレーの雲が数本…鱈子状にたなびいている。
無理かなぁと東に向かってベンチにリュックをおろすと、不規則な形の明るいものがチラリと見えた。
ん?…暫く注視していると、雲の隙間にだんだん月が見えてきた。空気が澄んできたので、淡い黄色の綺麗な月が強く光っている。
雲のほうも、美人(!)の月に敬意を表したか、上下2つの間隔がゆっくり広がるのを呆然と眺めた。
あらあら…すみませんね、どうもありがとうございます…とでもいうように、クッキリとして僅かに左上側が欠けた月が、するすると滑らかに姿を表す。
例によって、このイベントを眺めたのは、このベンチの付近は爺ぃ一人…勉強で参考書と格闘中の生徒、あとはスマフォの画面に釘付けだ。
勿体ない…と思うが、月は更に昇って濃い雲の中へ…それきり南東の空は雲に塗り潰された。