麦ご飯のこと
すで故人になられたが、大村しげさんの「京のおばんざい」というムック本があった。
今は、もう絶版になっていると思うが、
大きな図書館では書架から書庫に移して、保存されているかもしれない。
先日の節分のイワシのことを書きながら、ここに書かれていたことを思い出していた。
脂がジュウジュウ、煙がもうもう(→これで鬼を追い払う)、
イワシを焼く節分の日のご飯のことである。
この晩は麦を入れたご飯にする、と。
脂ののったイワシには、麦ご飯が胃にもたれずよい、
だから、焼き肉をするときも、麦ご飯にする、と。
確かその麦ご飯はお手間入りで、
一度丸麦を炊いておくのだ、
と書いてあったように記憶している。
丸麦は、米に比べて火の通りに時間がかかるらしい。
私たちは大抵、麦ご飯には押し麦を使う。
これは、炊いた丸麦をローラーで平たく潰したもの。
つまり、いったん加熱済み。
豆なら、打ち豆。洋風ならロールド・オートミールと同じ製法。
子供の頃、我が家は麦ご飯だったが、全然美味しくない。
麦も米と一緒に浸水させていたので、ベチョっとして、私はご飯が好きになれなかった。
その後、魚柄仁之助さんの本で、スイッチを入れる直前に、押し麦を足して再度水加減…を知った。
これだと、麦がプリプリしてとても美味しい。
ただし、タイマーセットで炊くときは…できないのが悲しかった。