一日為さざれば、一日食らわず…(その2)

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昭和帝は、病身の大正帝をよくたすけられて、
皇太子の時代から、公務をひろく代わってつとめられた。

それだけに経験されたことも深く、離れて暮らすことの多かった少年期の陛下は別としても、
折に触れ、昭和帝から会話の中に教えられることも、多かったかと思う。


ただ、昭和帝は長い闘病を経て崩御された。
その期間、陛下が密かに望まれても、
昭和帝から「形」のない「形見」、
この国の全ての民のために祈る、祭主としてのコアになる心得…
(それは、皇位継承の時に儀式で教えられる決まりきったものではなく)
昭和帝の実体験による素晴らしい経験を、伝授しきっていただけなかったという口惜しさを、
陛下はお持ちなのかもしれない。


残し、リレーしてゆくべきものは、余すことなくきちんと引き継いでゆきたい、とお考えなのかと思う。

或はそれは、とりもなおさず、陛下のお気持ちに限らず、
昭和帝の無念なお気持ちだったかもしれない。

同じ轍を踏んではならない、と。


皇室典範云々と周りの人間が、形式に「拘って」ノロノロしている。

法令や条例云々に「拘って」、大切な若い命さえ助けられなかった苦い経験は、ほとんど活かされていない現実がある。

問題が違うとお役人たちは宣うのだろうが、
「大切なこと」に目を向けることが、文字通り「大切」なのだ。


どのような「お気持ち」なのかは、わたしにも本当にはわからない。
ただ、陛下が「最良」と判断したお考えを穏やかに、けれど率直にお話し下さるものと、信じている。