カモミールのお返事~

 
沈丁花の咲き残りと、藤棚と、その向こうにはハシドイ…という、
その時の薬用植物園(うんと小さいけど)は、
鼻づまりでもない限り、華やかな芳香のなか。

まるるんの短い脚の膝くらいの丈の、白い花。
ジャーマンカモミールだと思うんだけど、ネームプレートが見つからない。
茂った葉っぱの中に隠れてしまった?

ローマンカモミールの香りを思い浮かべて、お花や葉っぱをクンクン…

でも、その場所は他の強い香りが停滞してるみたいで、わからない。

「ね~、カモミール君だよね?」
問いかけたら、突然すぐそばにある小さな温室で換気が始まった。

もあ~んとした温室の空気が、溜まっていた芳香を追いやって、
その特有な匂いに、まるるんは、ちょっと顔をしかめる。


ちょっと間をおいて、リンゴに似た香りがすっと立ちのぼってきた。
そう、足下から上ってくるのは、これはまさしくカモミールの香りだ!


香りでお返事してくれたのね~♪
嬉しくて思わず、お花と葉っぱをポフポフしちゃいます。

白い花びらのまんなかの黄色いボールが、「ウフフ…」と笑ったみたい。