今夜は、とおかん夜…(その1)

 

収穫を終えた田んぼの神さまが、今年のお役目を全て終えて、お帰りになる日…

と、子供の頃に聞いていた覚えがあるが、農家ではなかったので、それ以上のことはこの歳になるまでしらなかった。

 

とおかん夜は 十日夜 の意味で、旧暦8月の十五夜、9月の十三夜に続く、10月の十日夜で、秋の名月三部作(!)の締なのだとか…

月は僅かに半月を過ぎ、まるで皮にあたる円い具材の中心に、餡を置いて二つ折りにした和菓子…といった風情だ。(おぉ、ももたろう、今日もすまん!)

お供えするのは、餅や、小豆餡・きな粉などを纏ったおはぎ…等とのことだった。

神さまと一緒に五穀豊穣を祝い、田畑と作物、農作業する者を護って頂いたことに感謝し、また来春の来訪を願ってお見送りする…そういう祭りらしい。

 

この街の今日の天候は、芳しくない。所々に青空はのぞくが、雲は厚目だ…雲の切れ間と月が上手く重なれば、十日夜の月を眺められるのだが…

 

などと思いを巡らせつつ、昼過ぎにスーパーに到着…何気なく広い駐車場の上の空を眺めて度肝を抜かれた。

ゆっくり流れる厚目の雲の向こう側の太陽から今、天使の梯子が次々と伸びている最中だった。