ぎりぎりセーフの…(その1)

 

先日、十三夜の別嬪さんの月を讃え過ぎたのか、次の日から連日雨降りの夜が続いた。20日から21日に日付が変わる時刻の満月には、とうとう会えずじまいに…

連日昼夜問わず、天候も猫の目のようにかわった。雲の切れ間から強く陽が射したかとおもえば、ほんの50m程歩くと風と共にサァっと降りだし、傘だけでは濡れ鼠になりそうな激しい降りに…

 

昨日は爺ぃもポンチョを慌ててかぶって、難を逃れたが…自転車で配達中の青年は、ずぶ濡れでほぼ自棄っぱちで走っていった。

僅かの後にまた雨は上がり、南の空から陽射しが落ち、西南西にはポッカリと大きな楕円形に青空がのぞく…

やれやれ…溜め息と共に傘を畳み、ポンチョに手をかける…と、いつの間にか龍の頭の形をした雲が、東を向いて現れていて ねぇ、見たい? と尋ねてくる。

何故かそれが満月のことだと分かり、あぁ観たかったな… と呟くと あ、そう?… と返事と一緒に風で雲は崩れていった。

 

用件を済ませて、9時頃にターミナル駅近くのビルのエントランスで、外をのぞくとパラパラと降っている。乾かして畳んだ傘とポンチョを、取出し易いようトートの一番上に載せて、地下通路に向かう。