龍宮神社に向かう。

 
駅までのアーケード商店街。顔ぶれも替わってる。
建て替えたお店や、
長い間空き家状態だったデパート界隈が、
再開発で、大きな病院と駐車場になってた。

この前はこの商店街を通らなかったから、変化に驚く。


でも、旧くからある喫茶店や飲食店は健在だったし、
半球型の餡を包んだ焼き菓子を、せっせと焼いている男性(かなりご高齢のはず…)も、
今日もお仕事してる姿を、ガラス越しに見ることができた。
なんだか嬉しい…


駅で付近の地図を眺めて、近くの龍宮神社へも、ご挨拶に行こう。

石段をあがった境内に幼稚園があるけど、今日は午後だから静か。

明治になってからの神社だけど、
龍さんは、ずっと昔からいたはず…
それに頭の中は、家守綺譚や冬虫夏草に、既に切り替わってた。

ご挨拶すると、会話するみたいに風が強弱の勢いで吹いた。

拝殿を背に歩き出す。

 彼方へ 君と共に行かまし
ダァリアの透き通る声が脳裏に響き、汽笛が鳴る。
その街に残る廃線の線路を、想念の中で汽車が走ったのか。

 いと年経たる龍の ところ得顔に棲まい
征四郎の呟く声に重なって、海からの風が、ヒュウと吹き抜けた。