ヤマガラが降ってきた?…(その2)

 

爺ぃが手を出しそうもないと判断したらしく、枝からストンと地面に飛び降りてきた。転がっている巨大な松笠の1つによじ登って、念のため(?)2回ばかり啄いてみせてから、また此方を眺めている。

体積で軽く身体の4倍を越えていて、歯が立つ代物ではない。乾燥して笠が開けば、殻ごと取り出してやれるが、今は爺ぃにもどうにもならない。第一、あの堅い殻を割るのはヤマガラには無理だろう。

 

今度は、五葉松の幹にヒョイと飛び付いて、暫く螺旋状によじ登っていく。まぁ、たまに垂直の幹にとまって、何やらつついているのを見かけることはあるが…

さして太い幹でもないが、三周ばかり上りながら爺ぃをまた眺めている。さすがにゴジュウカラのように、垂直に登り降りはしないが、此方も半ば呆れながら眺めていた。

もう一度、ヒョイと地面に飛び降りて、少し大きな聲で2つばかり鋭く啼く。途端にザザザっともバサバサっともつかぬ音で、軽く20羽を超えそうな小鳥が、五葉松の枝にいっぺんに降りてきた。

想定外の出来事に、思わず爺ぃは首と肩を竦める。まるで、降って湧いたような出来事だった。ざっと見える範囲は全てヤマガラで、白い腹は見えない。