カラスに話しかけられた…?(その2)

 

工事のスタッフが通る度に、慌てて数歩避けるのだが、相変わらず延々と往復…一体どうしたのか…ふと自然に目で追っていた。

 

そのうちに、通りかかるたびにピッタリ真正面で立ち止まり、こちらに向くようになった。まるで何か言いたげ、という以外形容のしようがない。

暫く此方を向いてから、如何にも肩を落とした様子でまたトボトボ…また引き返しては同じ場所で此方を向く。

 

ついには、此方を向いてから啼き声まであげる…あぁぁぁおぉぉぉ…小文字のところが喉をゴロゴロいわせている。

あのぉ〜 と聴こえる。遠慮がちに、でも思いきって、そして明らかにこちらに向かって、声をかけているようだった。

 

なんか食べ物をよこせ、と言ってる訳でもなさそうで、ただ必死さが伝わってくる。ここは何とか、コミュニケーションをとってみたい…と言っても…はて、とりあえずどうしたらいい…?

 

ん?どうした?…眼差しを和め、声には出さずに正面のカラスに問うてみる。ほんの僅かだが、明らかにハッとした様子で羽が動いた。あぉぉ、あぉぉ…と先程より小さく啼き、言いたいだろう事が、突然胸に伝わってきた。

――あのぉ…水場は何処に…?