卒業文集の思い出 その2

 
さて、小学校の時は私たちの学年は人数が妙に少なくて、
文集の体裁上の都合で、自由なのを1編、「友の横顔」というのを1編、
ひとりで2編書くことになりました。

テーマはそうだけど、そこは抜かりなく(?)書く相手は、担任が決めて、
重複や漏れがないようになっていて、おまけに男女でペアなので、
たいして親しくもない同級生について書くわけで、みんな苦労してました。


まるるんが書くことになったのは、Sくん。
物静かな人で、多分おうちの都合でちょっと長い間、学校をお休みしてた時期がありました。

そんなある日、まるるんはスーパーでSくんに出会ったことがあります。
その日は、休日に学校行事があった振替日で、
その年の2月に母親が倒れて、日々の買い物なんかを私がしてました。

「こんにちは~」と声をかけたら、一瞬ビックリされて、それから照れくさそうな笑みを浮かべてた。
今から思えば、平日の昼間に同級生がお使いに来るはずないから、
多分Sくんは、その時間に買い物に来てたんだと思います。
彼のカゴの中味は、お菓子なんかじゃなくて、おかずの材料でした。
Sくんは男の子なのに、お使いまでしてお母さんのお手伝いしてる。
偉いなあ~と、思ったの。

で、その時のことを書きました。
Sくんの照れくさそうな笑みを、思い浮かべながら…

そしたら、一番最後の学級壁新聞に、私が書いたSくんの分が1編だけ…
(また、わかんないことする担任だな~)と思いつつ、
卒業文集が配布された日に、理由が判明しました。

私が書いたSくんの分だけ、文集に載ってなかったのです。
思わず何編あるか、指で数えちゃいましたよ。

不公平だ!と思いましたよ。
ページ数の関係だったら、自由テーマのほうを載せないでくれたほうがまだいい。


これも、今から思えば、長期欠席してたことを窺わせる文を、
卒業文集に残させたくないという、担任の配慮だったのかもしれません。

だったら理由を言って、まったく書き直すように指示されたほうが、
たったひとり、「友の横顔」に姿を見せない同級生をつくるより、
ずっとよかったと、今でも思います。


これは、卒業文集の悲しい思い出です。

いまだもって、納得いきません。