『禅 ZEN』を観にいってきました

 
なんだかあれこれと落ち着かず、ブログもほったらかしにしていましたが、
先日、中村勘太郎くんが道元を演ずる『禅 ZEN』を、観にいってきました。

いろいろ、思うところもあって、早く書いておかないと忘れそうなので、
パンを齧りながら、書くことにします。(もぐもぐ・・・、紅茶をズズズ・・・)

ストーリーは、書いてもしかたないので、心に残ったシーンを・・・


少年の文殊道元)が、死をまじかにひかえた母との会話で、
「死んでから悟ってもしかたがない」
「生きているこの世界こそ、浄土だ」
って言ってたと思うんですが・・・

禅と、密教というのは、全く違うように受け取りがちですが、
仏教の中でも、遅くに誕生しているんですね。
かたっぽは地味~、かたっぽは派手~なんですけど、
強烈に、自分の中の仏性というものを意識してる点は、一緒なんです。
中国で開花した、東アジア仏教の中では、ここで2つに分岐してるんですね。


道元に、大切なことを教えてくれた中国の年老いた典坐(てんぞ、お食事作り担当の修行僧)。
眉をしかめて思いつめる道元の、その眉間のしわを指で伸ばして、笑い飛ばしてくれます。

ここのシーンで、老典坐はきのこを天日で干しています。
映画では、道元が入宋して祖師を求めて行脚する途中で出会ったように描かれていますが、
二人は道元が宋に乗船してきた舟の着いた港の、近くで出会ったようです。

今でこそ、干ししいたけって中国産中心で出回ってますが、
この時代、保存しても香りが落ちないというか増すのは、日本のしいたけだけだったらしい。
老典坐は、日本船が入港すると聞きつけて、港へとしいたけを求めてやってきたようです。
二人を引き合わせたのは・・・しいたけだったのかも~。あなどれませんね、日本産!


如浄禅師から嗣書(ししょ)を与えられ、帰朝した道元は、建仁寺に落ち着きます。
孤高の道元は迫害を受け、『正法眼蔵』を書き進めつつ、やがて彼を慕って集まった弟子達とともに、
越前にと移り、永平寺を開きます。

ところで、勘太郎くんは、やっぱり歌舞伎役者だなあと感心したのは、
ストンと、胡坐というか、趺坐ができるんですね~。
上体を垂直に立てたまま、ストンと坐り、スイっとたてるんですよ。
去年のお正月にDVDで見た、尾上菊五郎(当時菊之助)の義経もそうだったけど、
やっぱり、子供の時からの訓練なんでしょうかね。
普通の人は、深く坐ろうとすると上体が僅かに左右に傾いでから、真っ直ぐになります。
もっとも、歌舞伎だって、お行儀わるく坐る時はワザワザ身体を傾げて胡坐しますよね。

それから、合掌の美しさ。もちろんこの映画のための訓練もしたでしょうけど、
手だけ見たら、女形のようなしなやかさで・・・
あ~まるるんの手が、クマの手にみえる~~~。(どんな手なんだ!!)


ラスト近く、道元の死後に出家を許された、おりんという女性が、童たちに座禅を教えています。
手を法界定印に結ぶように指導し、その手の中に仏様がいるんだよと教えるのですが、
一人の童だけは違う手の形をします。
「今日は、雨がふってるから・・・」と、手の上の仏様に雨がかからないように、かばってるんですね。

その童の手がアップになると、道元さんがその中に坐っています。
そして、道元さんも「どれ・・・では、私もそうしようか・・・」という風情で、その童と同じ手の形にするのです。

このシーンで、まるるんは感動しちゃって、涙がぼろぼろ・・・
ああ、生きてるなあ。ちゃんと仏さんがいきてるなあって。


最近の映画の常で、コンピュータグラフィックが駆使されているシーンがいくつかありましたが、
なんか、かなり違和感が・・・
わざわざグラフィック使わなくても、もっと象徴的な画面作りでもいいんじゃないかとおもいました。


そうそう、そのグラフィックのシーンのひとつに、怨霊に悩まされる北条時頼が刀を振り回すシーンが。
永平寺を開く場所を提供してくれた、波多野義重の求めに応じて、時頼を救いに鎌倉に赴く道元
そこで、水面に映る満月を斬ってみろと奨めます。
当たり前ですが、斬ったところで波が静まれば、また月はまあるく、水面に浮かぶのです。

満月の下で、座禅を組む道元師弟と、時頼。まあるいおおきな月・・・

このとき、「あれ~? 目を閉じれば、まるるん、いつもお月様だせるよ~?」と道元さんに言いたくなりました。

まるるんが非常事態でも、一見能天気なほどにあっけらかんとしてられるのも、このお月様のおかげ。
コンビニみたいに年中無休というわけにはいきません。ま、たまには黒雲、欠けたりもする。
でもでもね、平気よ~~~。お月様はちゃんと満月になる。今は欠けてたって、ちゃんと満月になるもん。

寝てるときは、畳んでるのかな??? レモンイエローをちょっと透き通らせた、まるるん専用のお月様なのよ。
うっふっふ~。じゃ、これって、税金のかかんない財産ってわけね。やった~!