満月が近い夕刻、桜の樹を想う

 
ちょうど日没と前後して、昇ってきたお月さま。
まだ青さの残る東の空に、ぷかりぷかりと、昇る。

きょうは好天だったけれど、ここ一週ほどの荒天(ありがたいことに、夜中がほとんど…)で、
黄葉したイチョウは当然だけど、まだ青い木の葉もたくさんおちてる。


先日の倒木事故もあって、特に老木の多い公園は、
ものものしく立入禁止の黄色いテープが、張り廻らされてた日もあった。

街路樹は、既に枝打ちされているけれど、
桜の樹も歩道や園路に張り出している幹や枝は、ズバズバ伐られていて、
山桜の類いはまだしも、里桜は来年芽を吹けないんじゃないかと、不安になるほど…


今年、花を楽しませてくれた桜も、
過酷な天候と、危険だからという人間の都合による、頻繁な枝打ちで、
来年は花を咲かせる体力がないかも知れない…


満開の桜を、今年は観られたけれど、来年はわからない。

それは劇中の、限られた命の青年の台詞だったけれど、
観られるかどうかは、自分の側だけではなく、桜の樹の側の運命にもよるんだな…

桜の葉が紅葉して、路面を覆ったのは、つい先月なのに…
根元からの伐採を意味する目印の、カラーテープを巻き付けられた幹に、
手を触れようとして、躊躇った。

来年も、また会いたいな…涙が滲んだ。