平幹二朗さんの訃報
大河ドラマの特集だったか、平さんが主演の「樅の木は残った」の数シーンを昔視たことがあった。
伊達騒動の罪を一人背負って、命を捨てたに等しい原田甲斐、
その甲斐を「おじさま」と慕う女性を吉永小百合が演じていた。
彼女は、残った樅の木に手を触れ、「おじさま…」呟く。
確か、彼女は泣き崩れはしなかった。ただ愛しそうに木に身を寄せていたように、記憶している。
「国盗り物語」の斎藤道三(あ、字がうろ覚え…)にしても、
とても理知的な感じの役者さんだった。
何のお芝居の時だったか、兎に角出突っ張りで、
喉がカラカラになって、台詞に差し障りがあるので、
衣装の袖口にカットしたレモンを縫い付けてもらい、
客席に背を向けるシーンで、それを口にして、渇きを凌いだと、
ご本人がエピソードを語っていた。
もう、お若くはなかったが、そこまでするんだ!と、驚愕した。
舞台を直接拝見する機会はなかったが、素敵な役者さんだったと思う。
平さん、どうもありがとうございました。