雪が舞った…

 

遠くに見えるスキー場は、かれこれ半月ほど前の深夜に強い雨だった朝、斜面だけが紙を貼り付けたように、白くなっていた。

それを合図のように、この街なかでは紅葉も黄葉もすすんだ。それでも、秋たけなわという気分だったが、今朝は一時落ちてくる物が真っ白な時間があった。

かなり湿った重いもので、コートの上からザックカバーの代わりに背に被せたジャンパーは、哀れびしょ濡れに…

 

ターミナル駅から南に延びる、駅前通りの中央分離帯の樹に、今年もイルミネーションのLEDが巻き付けられた。中心部の街路樹は、ほぼ洩れなくこの災難にあっている。

別に、フレームを組み上げてて色とりどりのLEDで飾るのには、異議を唱えるつもりはない。以前は豆電球でメンテナンスが大変な上に、消費電力もばかにならなかった。改善である。

けれど、樹の立場からすれば相変わらず、迷惑千万な話だろう。

発熱量が減って負荷が軽くなった…と言うが、人間の目でも近くで見詰めれば明らかに眩し過ぎる。それを全身に巻き付けられて、どれ程の異常な光源か想像できないのか。おまけに、樹はそれを脱げず、逃げ出すことも叶わぬのだ。まるで虐待ではないか。