教会のメタセコイア

 

移動中によく通りかかる教会。搭の外壁にイエスをマリアが抱えている立像…

いつも、通行する歩行者たちを、そっと見下ろして、黙って優しく見守ってる…そういう、とっても静かな慈愛を感じる。

信者限定の加護とか、そんなけち臭さを微塵も感じない。

朝、登校して行く子供たちには、気をつけてね!行ってらっしゃい!と分け隔てなく声をかけているだろうなという気がする。

マリアの腕から身を乗り出しているイエスは、ボクも学校に行くぅ〜と、駄々をこねてるかも…と思うほど、白い像は絵空事ではない生(せい)を感じる。

 

建物から少し離れて、メタセコイアが、少なくとも日曜日までは高く高く聳えていた。

今日通りかかったら、既に地上は倒され除去されて、根の部分をあらゆる方向に切り離されて、重機でバリバリと掻き出されていた。

近寄らないよう、コーンにロープを渡してあるので、近くの作業員の方にお願いして、落ちている実と、切り刻まれた樹の瑞々しい破片の1つを拾って貰った。

寂しくなるねぇ…と呟く。考えてみれば、彼は工務店の人で、伐採までこの樹など見たこともなかったかもしれない…はぁ、と曖昧な笑みで手渡してくれた。