ベツレヘムの星

 

オシドリ池の大学構内の、薬用植物園の南側の向かい。ここはちょっと変則的な形で道がクロスしてる。その少し先、小さな建造物に隠れるように、でもかなり密にその白い花は広がってた。

南下する道の西側、テニスコートとの境に並んだ高い樹から、うっとりするような小鳥さんの唄声…声がたなびくように聴こえた時、あ、ダァリヤのきみ…

梨木香歩冬虫夏草 で、美しい声に誘われて征四郎がたどり着いた草はら、ダァリヤは一面の白いこの花の中で(多分、讃美歌を)唄っていた。

誰が唄っていたわけでもないけれど、たなびく囀ずりに包まれて、一瞬ハイカラさんふうの袴姿のダァリヤの立ち姿を、ありありと思い浮かべた。

 

暑さに耐えかねたのか、今日の夕方に通りかかった時には、その場所の開花は盛りを終えていた。でも過日、幻のようにダァリヤを見かけたことは、多分忘れない。

 

花は初夏に向かい、街ではキングサリとフジが風に揺れていて、オダマキムラサキツユクサも負けじと咲いている。

オニグルミやヤマグワなど、地味な花も、まぁ実るまで待って頂戴!と…トチノキの低く下がた枝の花穂をよく見ると、かなりゴージャスな花の集まりだね。