「マジョモリ」と「蟹塚縁起」
図書館の児童書コーナーから、梨木香歩の本を借りてきた。
確かに、体裁は絵本に近いんだけど、心にしみる本。
「マジョモリ」Amazon.co.jpの商品の説明から
内容(「BOOK」データベースより)
春。森の奥で思いがけないティーバーティーに招かれるつばき。
誰もがやがて忘れてしまう“小さな女の子の時間”を鮮やかにくっきり描く。
内容(「MARC」データベースより)
春のマジョモリは花が満開。ある朝つばきは、森から届いた招待状を手に初めて森の奥へ。
そこで出会ったハナさんとノギクやサクラのお茶でティーパーティー。
後からもう一人来た女の子は誰? 「小さな女の子の時間」を描く。
つばきちゃんの家の向かいは、道路をはさんで「御陵」と呼ばれる深い森。
その森をみんなは、マジョモリってよんでいるんです。
ある春の朝に、そこの森のハナさんから、お茶の招待状が・・・
ヨモギのお茶は野原の味が、
ノギクのお茶は夕暮れの味が、
カキのお茶は日なたの味が、
サクラのお茶は森の味がしました。
うえ~ん!!私も~~~、ご招待されたいです。
ハナさんは、実は木花咲耶姫(このはなさくやひめ)と、最後のページでわかります。
そういえば「家守綺譚」でも、登場するわけではないですが、
高堂の口から、何人かの姫神たちの名がかたられます。
さらには、「丹生都比売」(におつひめ)という作品もあります。
草壁皇子と、彼にしかみえない、キサという少女の物語です。
「蟹塚縁起」Amazon.co.jpの商品の説明から
内容(「BOOK」データベースより)
あなたがその恨みを手放さぬ限り…蒼白い月の光は、時間を超えたいくつもの魂の旅路を優しく照らし出す。
幻灯のように浮かび上がる、静かな一夜の物語。
とうきち自身気づかずにいた前世の無念は、律儀な蟹の群れと共に月夜に昇華される。幻想的絵本。
内容(「MARC」データベースより)
助けた蟹が恩返しに来たことで、とうきちは自分でも気づかなかった前世での無念を思い出す。
生まれて来て生かされていることの不思議を、深みのある絵と共に幻想的に描く。
あなたがその恨みを手放さぬ限り・・・というと、おどろおどろしい気がしますが、
そんな物語ではありません。
前世で、家臣を助けに向かって、雨あられと降り注ぐ矢に倒れた七右衛門。
薄れていく意識の中、その耳に届いたのは
- 七回生まれ変わっても、わしらは殿のご恩は忘れませんぞ。
という、柱にくくりつけられた人質の家臣の声です。
恩返しに身をなげうっている蟹たちは、とうきちが現世で助けたというつながりだけではありません。
七右衛門という、とうきちの前世の恩に、生まれ変わって今、報いてもいるんです。
まるるんは、涙がいっぱいこぼれてしまいました。
これを児童書の棚においておくのは、もったいないな~