また、文庫本に呼ばれる…(その2)

 

そのまま奥に進むと、平積の一冊の著者名が目に止まる。作品を読んだことはないのだが、どこかで見た名前だ…

八木荘司…名前は島田荘司とも重なるが…もっと違う組み合わせの気がする。

ふと 燃えよ剣 の積んである上に目が滑ると、突然 なぁんだ と思い出し、笑い出しそうになって慌てて堪える。

 

新選組の壬生屯所の本来の所有者だ。向かい合って八木邸と、前川邸がある。浪士組が江戸に戻った後も居残ったのが、後の新選組だ。

八木邸では家族がそのまま留まって、芹沢暗殺の時には半ば死体と化した芹沢の身体が、隣の部屋で寝ていた子供たちの上に倒れ込む…といった事故もあった。

もともと八木邸は、浪士組上洛の宿舎には畑の中にある離れを提供していて、後の新選組の中核メンバーが最初は投宿している。西本願寺に移転しても、よく隊士が離れに来ていたようだ。

向かいの前川荘司邸では、街の方に店舗を構えていたので、浪士など堪らんとばかり皆でそちらに移ってしまい、空の前川邸が主要な屯所となった。

 

姓名の組合わせなど無限な気がするが、全くの同姓同名でなくても、何処かでみたような名前だな…というケースも、ままあることだ。