また、文庫本に呼ばれる…(その1)

 

29日の朝、起き抜けにぼんやりした頭で、月末なので新潮文庫の新刊が並んだかもしれんな…

不意に、先日岩波やちくまの文庫に呼ばれた書店の、新潮文庫の新刊と話題書の平積コーナーがありありと頭の中に浮かぶ。

 

たまたま夕刻に通りかかり、レジカウンターにやや近いそのコーナーをのぞく。話題書には、相変わらず しゃばけ の文庫最新刊がたっぷりとスプレッドされていた。

新刊は…東京よりは2or3日遅れるのが常で、多分鉄路をこの地方向けの仲間と一緒に揺られ、貨物駅でトラックに別れてくるのだろう。

ふと、派手さは微塵もなく妙に静けささえ醸し出している一冊…平積の中央を平棚で高くしてあり、その影に埋もれている。手を伸ばすと、例えば猫なら甘えてすりよるように、掌にすべり込んできた。

 

梨木香歩だ…薬草袋?膝掛け?あぁ、まるるんが読みたがっていた紀行文…文庫化を待っていた二冊が合本で新刊になった。

確かに、彼女には文庫一冊にはややボリューム不足の作品がある。結局合本ならもっと早く出せたのではないか。或いは、著者から文庫化の許可が出なかったのか?…

平積の場所へそっと戻すと、掌からスルリと離れていった。