コウノトリ

 
市街地で、空を仰ぐコウノトリが撮影されたというNEWS…


2週間位前、ちょうど新月のころ、梨木香歩エストニア紀行を読み返していた。


この旅は、もちろん取材の旅ではあったが、
彼女はコウノトリに会うことを、計画し、期待していた。

けれど、気象がそれを許さなかった。ほんの1日のことだ。

悪天候(かなりな低気圧)をついて、彼女が目的地に着いた時、強い南風が吹いていた。
そして、この低気圧の通過後、今度は震え上がる程の北風に。

エストニアを案内してくれた現地のガイドたちも、昨日までいたのに…と。

そう、コウノトリは風を読んで、追い風に乗って南へと航っていってしまったのだ。


空を航る鳥たちにとって、向かい風か追い風かは、人間の陸上競技の比ではない。

慎重に、そして身体に備わったとも言える直感を頼りに、その時期を正確に読み取る。
航る途中で力尽きれば、文字通りの死活問題なのだ。


画像は見ていないが、空を仰ぐコウノトリを想像した時に、
不意に冬虫夏草の、ムラサキの章だったか、
征四郎が、天狗が鳥居で空を仰ぎ風を読み、見事に飛翔するところに遭遇する場面を思い出した。