黒子(くろこ)の九ちゃん…(その3)
奥さんにしてみれば、ここでモタモタする時間のほうが、よっぽど勿体ない。
九ちゃん、ニコッと笑顔で頷く。
九:はい、畏まりました。
では、超高速のリニアコースで、織女に変身していただきましょう!
衣装箱から丁寧に、清楚ながらも美しい(ここ、とっても大事です)衣装をとりだすやいなや…
パパパと手早く着せては調える手、多方向から厳しく確認する目、
速いのなんのって…もう尋常じゃない。
神懸かるってこういうこと?…
それとも正真正銘の黒子パワー?(凄すぎます…)
その間、九ちゃんが三面六臂に見えてしまったのは、わたしだけ?
やがて、九ちゃんはニッコリ顔で離れて、全体を再確認。
ウンウンと頷いて、飛びっきりのニッコリ。
騎士(ナイト)の如くに、片膝をついて恭しく…
九:さて、これから暫しの間、織女になりきって頂きましょう。
奥→織:は、はい… (なんかイマイチ落ち着かない)
九:ところで、ですね…コホン…
争奪戦状態だったせいか、比礼が見つからなくてですね…
織:え?ヒレ?おさかなの?…
ええと…乙姫さまじゃなかったわよね?
九:あ~違いますね…
(空中に出現した、マンガの吹き出し風のバルーンを引寄せて、ホワイトボードみたいに消して訂正…)
それで、ですね。こっそり天女の衣装箱から、天の羽衣を無断借用してきました。
織:え~! (◎o◎) そ、そんなことして、大丈夫なの?
九:黒子の特権みたいなもんです。
ちゃんと返却できていれば、オッケーですから。
勿論、織女に纏っていただく訳ですが、その前に私が暫くお借りします。
織:えっ?黒子はいないことになっているはずだから…
比礼だけが、ふわふわと空を?
(髪の毛が縮んで、クエスチョンマークに…)
九:あらら、お髪(ぐし)が~~(あわてて髪油と柘植櫛で整える)
いえ、羽衣を纏ってあの衣装箱を抱えて、私が天の川の向こう側へ…
で、あの方に牽牛のコスチュームを纏っていただいて、また羽衣で戻ってきます。
織:(呆然…)
(話が長くなってきた…)