行きたくても、行かれない場所。鈴鹿の集落…

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文庫になるのが待ちきれなく、かつ、
図書館での予約待ちもなくなったので、
梨木香歩の「冬虫夏草」をその日の朝に借りて、
一気に読んでしまった。

もっと、ゆっくり読めばよかったんだけど、
まぁ、好みのポテトチップスは、結局、
一袋を一気に平らげちゃうようなもの…
(え?例えが変…かな?)


征四郎と一緒に、ほんとに一緒に歩いてしまいました。


雨粒が肩に当たる感覚…
ダァリアのたなびくような歌声…
隣のおかみさん差し入れの、柿の葉ずしの匂い…
南川(多分、南方熊楠がモデル)の研究室に積み上げられた、
標本や紙の匂い…


ゴローを捜し、イワナの宿を捜す…
その途上で出逢う、人々…
そこでふるまわれる、心づくしの食べ物の、滋味の深さ…

幽霊にまで、頼みごとを受け入れてくれる人物と信頼され…
人ではないものたちと共存して、何の疑いも違和感も感じさせない征四郎…



わたしも鈴鹿に行きたぁい!
このルートをリュックを背負って歩きたいよぉ!

鄙びた風景のなか、明るい陽射しを浴びて!



でも…
この風景の中に、わたしは現実には入れない。
征四郎の歩いた、この素敵な風景は、ダムの底に沈んでいる。

もし、ダムの底に立って上を見上げたら、
「家守綺譚」の最終章のように、月長石で出来た巨大なレンズみたいに、みえるんだろうか。


そうか、夢のなかで歩いていけばいいのか。
征四郎が、「家守綺譚」で湖底に行ったみたいに…