しんみり…

 
さっき、コーヒーを飲んでた時に、近くの席に座ってた、
白髪(はくはつ)のおばさま方の話、みんなに伝えたくなりました。

最初はね、敬老の日にお花のプレゼントを孫にもらったんだけど、25日の孫の誕生日に、NDSをリクエストされてしまった。

という話から始まったんだけど、
自分たちが子供のころは、遊ぶために使う(使える)お金なんか、
些細なものだったわね~、という展開になっていきました。


5人で遊ぼうが10人で遊ぼうが、長い縄があればみんなで縄跳びできた。
ゴム跳びも、あやとりも、おじゃみ(お手玉)も、みんなで遊べた。

それを持ってる子供は、使ってない時の管理(片付け)はするけど、
遊んでる間はそれが自分の所有物だなんて、おくびにも出さなかったし、
それで何の問題もなく、日が暮れるまで遊んで、楽しかったねぇ。

あとは、少しだけ夕食の配膳のおお手伝いをして、ご飯を食べて、
銭湯から帰ってきたら、もう眠くて、夜更かしなんて考えられなかったよ。

私たちを寝かしつけてから、お母さんは内職の縫い物してたんだ。
今、考えたらずいぶんと貧乏だった訳だけど、
何ひとつ、惨めな思いをさせられたことはなかったよ。


コーヒーをすすって、穏やかな沈黙がありました。
遊ぶのにも、力いっぱいだった子供のころを思いだしていたのかしら。


今の子供は、遊ぶためにもお金がかかる。
ゲームなんてしてないで、外でみんなで遊んでほしいもんだわね。

そう締めくくって、和服のおばさま方は、静かに席を立ちました。

きっと、おかっぱの髪を揺らして、輪ゴムを繋げたゴム跳び紐に向かい、
力いっぱい、真剣に走っていった少女の姿が、ふっと見えるようでした。