金大中氏の訃報

 
夕方のニュースで、訃報を聞いた。

大統領就任までに、幾多の困難を、文字通り命がけで乗り越えてきた人だ。

軍事政権下で、民主化を声高くあげた。
殺害未遂という事件が、知られているだけでも、幾度かその身の上にあった。
明るみに出なかったことは、数え切れないだろう。



ただ、理想をかかげただけではない。民主化にむけて、実際に行動をおこした人だ。

いわゆる、金大中事件の時、東京で拉致されてから、韓国で解放されたときの心境を、
日本人記者団に、メモでこう示したそうだ。(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%87%91%E5%A4%A7%E4%B8%AD%E4%BA%8B%E4%BB%B6

 「暗闇の中でも尚明日の日の出を信じ 地獄の中でも尚神の存在を疑わない」

それは、すさまじいまでの、でもなんて静まり返った信念だろう。



祖国の人たちが幸せになっていくこと、その根底となる民主化にむけて、
無我夢中で走り続けていた彼を、天は決して見捨てなかった。
否、ありとあらゆる「正しさ」をつかさどるものは、その誇りにかけても、
彼を見捨てられるはずがなかった。


「天命」という文字が、ラジオを聴いていた私の視野に浮かんだ。
彼は、「天命」を生きた。
「天命」を体を張って生きていた時期、彼は何度も殺されそうになりながら、
でも、大切な命を損なわずにすんだ。


そうだ、その時の彼の命は、彼一人のものではなかったんだ。
「韓国」の正しく生きる人たち皆のための、尊い命だったんだ。


85歳といえば、十分生きたかもしれない。

命をかけて韓国民主化に貢献するという「天命」を果たして、今はただ、ゆっくり休んでくださいね。



 
それに較べたら、今日からはじまった選挙の各党首たちの声は、
まったくもって、ため息しか出てこない。

「命をかけて」というセリフを聞いても、
それはただ、あなたの「政治生命」でしょ? とつぶやきたくなりますよ・・・