「破地獄偈」の夢のこと・・・その1
華厳経というのは、ものすごい量のお経を集大成したものです。
この中に、夜摩宮中偈讃品 または 夜摩天宮菩薩説偈品 として、
「唯心偈」として知られるものがあります。
この偈は、10のパーツからなっていて、その最後のパーツを「破地獄偈」といいます。
あの~、念のために言っておきますが、
別に、まるるんが重たくて、地獄の底が抜けちゃうってことじゃないですからね~~!
ちなみに、いっちばんの地獄の底を、「金輪際」といいます。
ここより下は・・・ ないはずなんで、地獄の底は抜けないはずで~す。
以前に、この「破地獄偈」にまつわる夢を見たことがあるんです。
まるるんは夢の中で、ビラ配りするような、メモ用紙くらいの紙の束を渡されます。
ちゃんと受け取ってもらえるか、自信がないな~と思ってると、
「それを必要としてる場所があるから」と、狭いプールみたいなところを指定されます。
紙には、「破地獄偈」が書かれていたのです。
若人欲求知 三世一切佛 應當如是觀 心造諸如來
若し人、三世の一切の仏を求知せんと欲せば、応当に是の如く観ずべし、心は諸の如来を造る。
水の中から、次々と腕が水しぶきを上げて、突き出されます。
多分、それは地獄在住(?)の悲しい亡者たちの腕です。ただただ、腕だけが水面から出ています。
その手に、この紙を握らせてあげるのが、夢の中のまるるんの役目でした。
握るのを待っている腕たちは、俺が俺がと、狂気のように暴れ周り、奪い取らんばかりの勢いです。
でも、紙を受け取ると、ほっとしたように静かに沈んでいくのです。
やがて、紙が尽きてきました。腕は際限なく突き出されます。
え~、どうしよう・・・ そうだ! これ、コピーとろう!! と最後の1枚で気づいたとき、
一際大きくて、力強い腕が、最後の1枚を奪い取っていきました。
たくさんの腕が、狂おしく「破地獄偈」を求めて暴れています。
でも・・・ でも、まるるんには、もうなす術がなかったのです。
だって、それが「破地獄偈」であることは知っていても、「應當如是觀」を説明してあげられない。
その20文字を、諳んじてあげることもできない。
まるるんは、ペタリと座り込んで、悲しくて泣き出してしまいました。
「ごめんなさい!、ごめんなさい!!」
そのたくさんあった枚数も、渡すという手段には、所詮限りがあるということ。
渡しながらでも、なんとかその紙に書かれていることに注意を向けて、
その意味を自分の中に収めていたら、紙を渡せないながらも、話してあげられるということ。
夢のなかだったけど、胸が痛くなるほどの悲しみでした。
ふと目が覚めると、ほんとに涙だらけの顔になっていました。
涙が流れ込んで、鼻も詰まってて・・・ ああ、夢の中なのに、ほんとに泣いてたんだ。
起きてもなお、ずっと悲しみで胸が痛かったです。