中村吉右衛門の訃報
人には、寿命がある。それは仕方がない。
吉右衛門といえば、爺ぃにとってはやはり 鬼平 だ。歳を重ねる毎に、実父の先代の松本白鴎の面影が重なった。
まだ働き盛りで晩酌の最中の、父親と並んで座り、白黒テレビで先代白鴎の鬼平を視た。
吉右衛門の鬼平は、白鴎の鬼平を知る時代劇ファンを、全く裏切らなかった。
残念ながら、父親は吉右衛門の鬼平を視る前に鬼籍に入ったが、生きていれば満足したと思う。
もう一つは、武蔵坊弁慶だ。子供の時に視た緒形拳の弁慶も、わくわくするほど魅力的だったが、大人になってから視た吉右衛門の弁慶も、惚れ惚れするほどに格好よかった。
弁慶の魅力は、無双の強さと、ユーモアであり、その二つに基づくスケールの大きな優しさだと考える。吉右衛門はそれを、見事演じきった…
合掌。