これも、偶然か…?(その2)

 

広々とした菜の畑が広がり、遠くに嘗ては大社であったという 隼社 の祠が見え、一方では凄まじい数の鳥居が並ぶ出世稲荷も挑(のぞ)める。

手前の小川で壬生菜を洗い、これを売っているという姿の、絵草子のような画…はて、この小川は…?堀川なのだろうか…

浪士たちが大挙してやってきた挙げ句、暫し居付かれてしまったこの地の人たちの生活は、迷惑しながらも変わらず繰り返されていたのだろう。

 

と、左手の指が押さえた大量のページから、かなりの量のページが滑り出してあわてて押さえ直す。六所(明神)宮のページが開かれて止まった。

図会はくらやみ祭の翌日の田植神事が描かれていて、田植の済んだ田で素っ裸の男の子逹が相撲をとったり、跳ね踊り回っている…

 

現在の大國魂神社燃えよ剣 の原作の冒頭は、この祭から始まる。いくらなんでも、これは出来すぎじゃぁ…と一瞬混乱する。

映画の封切りが近く、何人もの客が 壬生 と 六所宮 の部分を立読みして、ページに開き易い癖でもついたのか?…

 

携帯の鳴動にあわてる。次のページは…浅草海苔だった。ムックを棚に戻して駅に急ぐ…まるで何かに見透かされているように思え、唸った。