突然思い出したけど、父親の命日だった。

あはははははは、お父ちゃんごっめーん。
一緒に、どら焼き食べて、それで勘弁してっ。

え?お酒のみたい? だって、お酒なんかないよ。
お神酒代わりにいただいてきた、梅酒か…
化粧したときにうんと薄めてクレンジングに使う焼酎しかないってば。
それ呑ませえろって? やめときなよお。

ねーねー、ほら、弘法さんのどら焼き、おいしいよ。
一緒に食べようよ、ん、ん、お茶ね。はいはい。

久しぶりだねー。おんなじもの食べるの。

わたしさあ、お父ちゃんに可愛がってもらったよね。
別に、何してもらう訳でもなかったけど。
いつでも、黙って見守っててくれたよね。
信じてくれて、いたんだよね。
いっつもさ、そのホンワカした眼差しで、
みていてくれるだけで、安心してたんだよ。

あれえ? もう行っちゃうの?
あ、そうか、他もまわらなくちゃね。
でも、もう一切れ、一緒に食べていってよ。

お父ちゃん。