「二人日和」

 
今日、まるるんは「二人日和」を観る機会に恵まれた。

鴨川の桜吹雪、葵祭の行列、主人公の栗塚旭演ずる黒由がお水を毎朝汲みに行く梨木神社。
京の町屋のたたずまい、そして学生達を育んでいる今の京都の街。

セットは組まずオールロケという、考えてみたら手間という点では贅沢な作品だった。

ALSが悪化して、藤村志保の演ずる千恵が亡くなり、その通夜に雷鳴と共に激しく雨が降り出す。


そのシーンに、自分の両親が亡くなったときの日が重なった。

父が亡くなって、霙交じりの強い雨が降る中、私は担任に電話をかけるために電話ボックスの中にいた。実際寒かったのだけれど、私は体を震わせて父の死を告げた。電話ボックスにビシャリと音を立てては流れ落ちる、白くて冷たい雨が視野いっぱいにあった。
母が亡くなったときは、夏だった。手伝いに数日残ってくれていた母方の伯母が帰る日に、雷鳴と共に夕立があった。短い間にものすごい勢いでザザッと降って、あっけなくあがった。

どちらの時も、私がその伯母に言ったせりふは一緒だった。
「死んで3日以内に雨が降ったら、それは寿命なんだってさ。」

千恵も寿命だったのだと、ストーリーとは全然別のことを考えていた。



今日はよい天気で、暖かかった。
夜になって、帰り道にふと見上げると、まあるい月が優しく照っている。
もうすぐ春だね。すぐ、そこにね…