今日の御神籤(続き)

 
何でもかんでも人の心が読めたら、煩くて仕方なかろう。


本人の了承なく読むのではなく、ただ寄り添って、解ろうとするだけでいい。
無理に同意する必要さえ、実はないと言っていい。


不思議に本人の心が、咲くのを躊躇っていた蕾のように、ホロっとほどけることもある。
必要なのは、大手術でもなければ、多量の投薬でもなく、ほんの些細なきっかけだ。


それをまるで自分の力だと、自慢するのは、全く愚かだ。


その土地の井戸の場所を知らないばかりに、渇きで倒れていた旅人に、
急いで建物の裏にあった井戸へ、水を汲みに走り、
口にしやすいようにと、茶碗で差し出すだけのことだ。

なにか特殊な力が、要るわけではない。
ただ、自分が力になれる範囲のことを淡々とするだけで、利他の行為になるのだ。

力んで、利他の行(ぎょう)をするのではないのだよ。

可能な範囲のことなら、惜しげもなくやってあげなさい。
あぁ、その力はそのためにお前たちに預けてあるんだよ、と。