三十三間堂の観音像、1001体全て修復完了で、揃い踏み。
京の、京の、大仏さんは、天火で焼けてな、
三十三間堂は、焼け残った…
京の街は、何度も大火で焼けている。
この童歌は、幕末の蛤御門の変の時のもの、と聞いた。
大仏さんは、方広寺。
市中も焼け野原になり、祇園会の鉾や笠も、焼けてしまったものも少なくない。
堀川を境に、西本願寺は無事だったが、
市中の東本願寺は、やっと再建がなって10年足らずで、また履災してしまった。
新撰組が、新しい宿舎に西本願寺を指定したのも、政治的理由もさることながら、
そもそも東本願寺は翌年の春には、使える状況になかった。
45年に渡って修理修復してきた、三十三間堂の観音さまが、揃って並ばれる。
博物館などでの展示の他に、必ず数体がお留守だったが、
1001体揃って僅かずつ異なったお顔で、優しい眼差しで…
自分や懐かしい人に似たお顔、探せば必ず出逢えると聴かされた。
眼を閉じて、あの長い建物に並ぶ、観音さまを想う。
観音さまの中に私達が、私達の中に観音さまがいらっしゃる。
ああ確かに私達一人一人が、世界を構成するジグソーパズルの大切な1ピース。
愚かな争いが、無くなる事を祈る。