音楽が、降ってきた…?

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先週盛りだった、サラサドウダンの花。


歩いていたら、上着の外ポッケの、携帯につけた鈴がシャランリンとなった…
始まりは、確かにポッケの中だったと思う。

だけど歩くにつれて、それがあり得ない響きに聴こえてきて、思わず立ち止まった。

つけてある鈴は2つなのに、まるで巫女さんが鈴祓いのときに振る、
文字通り「鈴生り」の音が、いつの間にかポッケじゃなくて、
もっと高い、わたしより上のほうから、降ってきた気がする。


う~ん?
とりあえず、歩道の端っこに寄って、空を見上げてみる。
とたんにクリアな音で、シルクロードのオープニングのテーマ曲が降ってきた。

まぁ、どこかで現実に音源があって、聴こえてる可能性もある。
だけど、「鈴」は、あのラクダさんの首にかけられてる開放型の音じゃなくて、
確かに、シャランという閉じた鈴の音だった。


オープニングに流れでいた、昔のテープのビデオ画像の、色調はなんだかあやしい(技術的な意味で)けど。
民族衣装を纏って舞う女性、実際に舞うときに流れる音楽ではないのに、
テーマ曲とピタッと合っている。

それを、空のスクリーンに再生したのは、単にわたしの記憶かもしれない。


栄枯盛衰。
シルクロードをつないでいた都市は、順番にそれをシナリオのように演じて、
あるものは滅び去り、あるものは歴史という帯を織り続けている。


1世紀にも満たない過去ではあるけれど、もはやこの番組の画像でしか、
目にすることのできない、そんな遺跡もあるだろう。

民族色の濃い(パターンも含めて)スカーフを被って、ロバのひく荷車に揺られていた、
あの素敵なお嬢さんも、指折り数てみれば、孫も曾孫もいるかもしれない。



この半世紀の間に、私達はどれだけ愚かさを克服できただろう。

教育が充実するとか、科学技術が発達するとか、
そういうことだけで、愚かさは克服されるものではない。


自分たちの利益を一番に掲げ、
「自分たち」の範疇にない人々や、命を排除することに、
何の疑問も持たない。

報復を繰り返し、それはエンドレスのまま、
いや、寧ろエスカレートしている。
悲しいことに、人類は根底の愚かさを克服できず、なお増長させている。



曖昧な鈴の音が、遠ざかって、空は単なる空に戻った。
美しい音、美しい画像だったのに、わたしの心は晴れなかった。