スパイス売場に聞こえてきた、食用油のはなし…

 
大きなスーパーで、小さな瓶入りのスパイスを探してた。

頻繁に使うのは、業務食品のお店で買う。
結果的に安いし、パウダータイプのでも、缶のサイズを選べば適当な期間で使いきれる。

だけど、本当に少ししか使わないのは、スーパーの棚で選ぶ。
高品質のが必要なら、GABAN だし、そうでなければ、S&Bのでも十分。

ど~こ~だ~?
センサーの如く、棚のラベルをチェックしてた。
(全部カタカナだから、結構読みにくい)


ふと、食用油の方の棚から、異様に響く声で、喋ってる女性。
姿は見えないけど、またあのご婦人だよ、きっと。

エゴマ油について力説している。


去年はココナッツオイルだった。
いわゆる、サラダ油は毒なんだから買っちゃいけない、
そんなものを使うのは、無知無分別、あきれてものも言えない、と。
ココナッツオイル最高!
サラダ油は、何リットルも全部流しに捨てたわ!と息巻いてたっけ。

その捨て方って、ほとんど犯罪…
捨てるのは自由だし、お宅の排水管に負担をかけてるうちはいいとしましょう。

でも、川にも海にも負担かけているよね?
お魚たちが、気の毒だよね?
ちゃんと、新聞紙なりぼろ布に染み込ませて、燃えるごみにだしておくれよ。
燃やせば熱源にはなるんだから…

誰彼捕まえて、最新の知識(?)を披露してるらしかった。


で、今年はココナッツオイルを捨てたそうだ。
性ホルモンの異常をきたすから、なんだって。
日本人で、そんな量を摂取する人が、一体何%いるっていうんだろう。

確かに、日本人はココナッツオイルを日常的に摂取する習慣は今までなかった。
消化に要する体内環境が、熱帯や亜熱帯の人たちと同一とは言えない。
だったら摂取量を調節してあげないと、体がかわいそうだよね。

少量でも本当に性ホルモン(発ガン性?)の異常を引き起こすなら、
ココナッツオイルを日常的に摂ってる原産国の人たちは、
皆がそういう危機にさらされてるって訳ね…
そういう話は、聞かないけど。


ココナッツオイルの利点は、油脂の中でも、特徴的。

主に上部の消化器官で分解される。口や胃が対象の主なステージ。
逆にいえば、唾液の分泌が異常に少なかったり、胃の大半を失っている人には、
そのまま体内を通り抜ける可能性も高いかもしれない。
オイルの形で摂取すれば下痢も想像に難くない。

だから、ココナッツオイル自体が悪いんじゃなくて、
その人の消化能力との、ミスマッチなんでしょうね。


上手く分解できる人にとっては、
他の油脂の消化担当の、胆汁やすい臓に負担をかけずにエネルギーに変換できる。
これらの臓器に不調がある人にとっては、とてもありがたい油脂。
だって、今まで諦めてた油ものがたべられるんだからね。

同時に、インシュリンの分泌に問題がある人には、
ブドウ糖ではなく、ケトン体が供給でき、脳へのエネルギー補給の代替になる。

あれれ?
なぁんだ、ココナッツオイルの有効活用の第一歩は、
よく噛んで唾液と混ぜてあげることなんじゃないかな?
やっぱり、カプセル入りのをわざわざサプリで摂るのは、
もったいないみたい?
それとも、分解したのを詰めてる?

それから、加熱に強いこと。
普通の調理の範疇なら大丈夫。

ただ、固まっちゃうから冬場のお弁当にはミスマッチかな。
でも、脂っこいの大好きな人にとっては、口の中では簡単に油に戻るので、問題ないかも。
唾液と混ざれば、消化に障りはないんだから。


かのご婦人は、この夏ココナッツオイルをトイレに流したらしい。
一瓶千円以上するのに…お金持ちなんだ…もったいない。
冬場に向かい、トイレが詰まらないかちょっと心配ですけど、大きなお世話か。


結局、探してたスパイスは見つからなかった。やれやれ…
そこに聞こえてきたとどめの一言に、フリーズ。


「高いけれど、今は全部エゴマを使っているの…揚げ物も全部!」


はいはい、財に任せて「健康的な生活」をお送り下さい。
でも、エゴマ油は酸化しやすいから、少容量の瓶で売ってるんです。
いくら何でも、揚げ物はどうかと思います…
瓶のラベルも、よく読んで下さいね。



調味料ボトルに取り分けたココナッツオイルが、ゲル状に固まってきた。
そろそろ、広口瓶にあけてスプーンで出せるように、準備しとかなくっちゃね。

最近、歯磨きしたあとに、スプーンの先っちょに少し、嘗める。
オイルプリングじゃないけど、口の中というよりは、喉の乾燥(による痛み)が和らぐみたい。


正しい油脂の伝道師を自認しているらしい、かのご婦人には、
あら、カロリーと引き換え?と、誇らしげに指摘されそう。

はい、そうですが、それが何か?