寂聴さんの訃報…

 

99歳…ということは、昔風の数え年で百歳、ということか…すると、もしや大正のお生まれだったか…

出家したと知った時も驚いたが、その後の精力的な活動にも、全く畏れ入った。

 

爺ぃが見た時に既に十分古かった、雑誌のグラビアだったか…

若い彼女(と、敢えて云わせて貰う)が、天井まで本棚がある部屋で、梯子段に乗ってカメラを振り返っている姿と、濃い色(白黒なので判らない)のニット帽姿で、本当に豊かな笑みを浮かべていた…

それが、ざらつくような紙の質感と一緒に奇妙な程鮮明に、記憶に残っている。

 

出家なさってから、世にケータイ小説なるものが流行った。寂聴師はこれにも挑戦して、作品を残したが…

今から思えばこれが、重度の白内障の誘因になったのは否めない。結局、片目の視力は取り戻すことが叶わなかった。

 

爺ぃは、殆ど執筆作品は読んでいないが、説法する寂聴師の姿(これもグラビアだが)に、清々しさとその背後にある凛々しさ(妙な言い方だが)を、感じ取っていた。

 

話す言葉、綴る言葉…あらゆる手段で、何としても伝えたいことがあった筈だ…

あらっ、いやだ…まだ沢山あったのよ…心残りだわねぇ…と。

合掌。