桂歌丸さんの訃報

 
元から、スリムな師匠だったけれど、肺の病気が表面化してからは、限界まで痩せ細ってしまって…


師匠の声で、すぐに思い浮かぶのは、所謂、長屋のおかみさん。
何ィ言ってんだよ、おまぃさん。だから、あんたは駄目だってんだよっ、まったくぅ…

指先でささっと、襟元をかき集めて調える仕草と一緒に、脳裏に浮かぶ。

古典落語ではお馴染みの仕草だが、それぞれに個性があった。
歌丸さんのは、如何にも江戸っ子で、動作もさっさとしてる。
先代の円楽さん(円生)のは、静静として、礼儀正しい風情があった。
先代の円生師匠のは、おっとりして、噺にもよるが、関西の米朝師匠と共に、何とも言えない気品があった。


私は古典落語が好きだけれど、最近はCD位しか聴く機会がない。
たまに、ラジオで聴くこともあるが、どっちにしても音(声)だけで、仕草が見える訳ではない。

それでも、子供の頃にテレビで見た咄家の仕草は、覚えてる。


もう、古典落語で繰り広げられる情景は、ほとんど残されていない。

体験したことのない仕草を、高座でみせることができる咄家さんも、減って当然。

歌丸さん、どうぞ若手咄家を見守って。