冬柏と、親の背中…
多分、カシワだと思う。
まだ2mくらいの若い樹だけど、ちゃんと冬柏状態になってる。
葉っぱ自体は枯れてしまっているけど、落葉しないで、
来春への若い芽を、しっかりと寒さから冬の間じゅう護っている。
寒さを乗りきり、若芽を風にさらしても大丈夫な状態になると、
今度は呆気なく、散っていく。
俳句の季語にもなっているのだとか…
脈絡ないようだが、先だって帰天されたシスター、渡辺和子さんの著書で、こんな話を読んだ。
子供が万引きをして、父親が呼び出された。
盗品はさしたることもない、文房具で、父親は子供にこう言うのだ。
なんだ、こんなもの位、言えば会社から持ってきてやったのに…と。
シスターは、こんな感じのことを書いている。
子供は親が「ああしろ、こうしろ」と言った通りにはならないけれど、
親がやっている通りのことをします、と。
こういう事だと私は受け取った。
父親は、会社の備品や消耗品を平気で私物、それも自分の家族の物としている。
それが当然の親を見て育ち、教えられたも同然の子供は、
盗みが悪いとは、到底判断ができない。
頷きつつ、背中にはおぞ毛が起った。