スーパーのレジにて(その1)

 
買い物の品数も少ないので、ざっと見回して短い列に並ぶ。

今、レジうち中の客はレジ籠2つだが、
その次の末尾の男性は牛乳パック1つだけで、
ありがたいことに、それを寄せて、籠をレジ台に置くように身振りで勧めてくれた。

会釈して、周章て支払いに備えて、カードケースから、
ここの電子マネーのカードを探して引っ張り出す。
残高は入店した時にチェックしてあるし、ざっと暗算でも不足の懸念はない。

チラリとレジ前の時計に目をやる、
この分ならフードコートで、アイスコーヒーを飲みながら一休みできるな、と。


ところが、そこから先が大誤算だった。


レジ担当者がX…X円になります、と告げてから、
初めて、客の如何にも「昔のお嬢さん」は、
徐にカートに並べた複数ある手提げから、財布を探しにかかった。

待っている人全部が、嘘だろう?、が正直な気持ちだ。

今日は天気がどうとか、途中ですれ違った犬がどうとか、
レジ担当に話しかけてるつもりらしいが、その都度探す手が止まっている。


結局、探した複数の手提げの最後の底から、財布を取り出して、
絶対掏られないように底に入れてるのよね、と。