さて、次は米…(その1)

 

日本は瑞穂の国…

と云うけれど…今我々が、水稲の米100%を炊き、それが当たり前という状態は…実は長いこの国の歴史から見れば、極々最近のことだ。

 

飯の米と大麦の比率でも、今の麦飯は8:2だが、もともとは逆の2:8が当たり前で、バサバサモソモソしない程度に米を足したようだ。

百姓として水稲陸稲(おかぼ、ともいう)を作っていても、それを口にできるのは年に数度あるかないか…という生活だった。

江戸や上方などのごく限られた流通の中では、銀しゃりも食べられたようだが…例えば下級武士が扶持米として受け取っていたのは、精米前の米糠が酸化してしまった赤米(=備蓄していた古米)だったという。

 

米 という字を分解すると 八十八 で、特に水稲はそれほどの手間がかかっている。

それでも、米には大切な役割があった。日本の食生活に欠かせない 発酵 を支えている農産物の一つだ。勿論、他の穀類も支えてはいるが…

 

一方で、いつしか米余りの状態が浮上する。米や雑穀の飯に味噌汁、香の物、僅かな副菜といった食生活の時代は、主食も重要な蛋白源だったのだが…動物性蛋白が手軽に摂取できるようになり、米の必然性が下がった。