エストニア紀行 に呼ばれる?

 

今週になって積み上がった本の中から、梨木香歩エストニア紀行(文庫)にヘ(^_^)ヘ(^_^)される。

本は薄くて、文庫が新刊で平積みされていた時に、カバーの虹の写真にふっと吸い込まれていった。身体は本屋さんの通路に突っ立っているのに、写真の風景の中に立って暫く大きな虹を眺めた…そんな体験をした。

何に呼ばれたかな…持ち歩いて結構汚れた書店のカバーごと手にすると、つつっと本が滑って慌てて指だけで捕まえる。本は「我が祖国は我が愛」エストニアの人々が、国歌よりも深い思いをもって愛唱する詞を、作者が訳した本文の最後のページに引っかかってやっと止まった。

 

目がその詞を拾っていく。はじめはゆっくり、だんだん速度をあげて…僅か文庫本2頁の詩の最後の行で目をあげた時、何故だか涙で曇り、鼻水が落ちる寸前だった。ズズズ…

印象に残っている部分しか記憶していないけれど、本に画像があったものはそれが、なかったものは文章から脳裏に浮かび上がった鮮やかな画像(不思議だけど…)が、スライドショーみたいに流れていった。

短い期間であったが作者がエストニアを訪ねたその風景を、その斜め後ろから一緒に、秘かに眺めていた。