黙食ランチ会の開催(続き)

 

鯖水煮缶の汁の絡まったキャベツは、まるで旨味の塊だ。ただツマミにするなら、醤油さえ要らないと思う。だが、所謂魚臭さが気になるなら、醤油を垂らすのも香りの点からは良い。

尤も、水煮以外の缶のほうが香りも味も煩いと、爺ぃは思っているのだが…

 

そうこうしているうちに、皿の上は呆気なく空っぽに…ももたろうは、ツナの皿に僅かにたまった汁を、飯にかけてきれいさっぱり腹に納めてしまう。天晴れと言うしかない…

 

カテキン効果を期待して、二人で緑茶を啜る。到来物の菓子を開けそこねていたが、広げて山分けした。いい案配に数日で消化できそうな数になる。

山分けした菓子箱の余白(?)に、煎餅やら飴やらを詰めて持たせる用意をしていると、ももたろうの満面の笑み…

マスクで半分以上隠れて、目だけが辛うじてわかる…いや、目だけで十分わかるほどの笑顔というべきか。

 

NEWSで、千葉でイワシが豊漁、よく肥えていると… 鰯 の字が表すとおり、鮮度の点からは脚が速いし、身も崩れやすい。

昔は安さもあり、金持ちの喰う魚ではないと言う馬鹿な奴もいた。一時期不漁にもなった。これも水煮缶にして貰えれば、非常に有難いのだが…

 

黙食ランチ会の開催

 

ももたろうが、高温の予報に慌て、ハッカ油を小瓶で届けてくれた。

この暑さで、精油のポスト投入は感心しないし、簡単ランチのおかずを持参するから、飯を用意しておいてよ、黙食ランチしよう、と。

飯を炊いていると、ももたろうがやって来て、包丁とまな板貸りるねと…何?これから造るのか?

キャベツは軟らかい葉のようで、ザクザク切って皿に盛る。玉ねぎも平たくて新玉ねぎか?薄く切って、これも別の皿に敷き詰める。

他にあるのは、大きめな鯖缶(水煮)と、スタンダードに小さいツナ缶(オイル漬)。

これを開けて、キャベツの上に鯖を汁ごと載せる。おぉ?懐かしい簡易おかずだ。

ツナ缶も玉ねぎの上にオイルごとあけ、塩コショウを振って皿の上で和える。

鯖用には寿司用のムラサキ(醤油)、ツナ用にはマヨネーズとケチャップを容器のまま、大きめの取り皿を並べる。

各々の皿に取り箸と、取りやすいようカレースプーンを添えて、大きめの飯茶碗に飯を盛る。

 

いただきます!の後で、マスクを外し黙食ランチ開始。

ももたろうは飯茶碗に直接取り、あれこれ調味料を少しのせては口の中。その都度、んんん〜!満面の笑みに、爺ぃの食欲も増した。

 

子羊、放牧中…

 

今日の昼間も大学を東西に突っ切って、ショートカットの筈が…

ちょっと時間に余裕があったから、車専用の地下トンネルの上の遊歩道じゃなくて、畜産エリアと学生寮の間のコースを選択。

侵入地点の学生寮の名前を冠した森は、白い花のアンカー、ハナウドがドカンドカンと咲いていて、その中をワクワクと急いでいくと…

おぉっ!聴こえてきた、若干高めの べぇぇ〜 べぇぇ〜 子羊が草を食んでいる。

 

休講やら、オンライン授業やらで、畜産を回していく手が足りないのかもしれないな。

毛刈りが間に合わなかったと見えて、新しい短い毛が前半分生えているのに、パジャマでいえばズボンの範疇に、昨シーズンの毛がボロ雑巾みたい(ごめんな…)にぶら下がってる親羊も…

それに、一頭だけお腹が何だか不規則に凸凹してる親羊がいた。ノーザンフォーク種みたいだったけど、普通は子供がお腹にいてももう少しポッテリ丸く張ってるよな…大丈夫かよ、お前…何だか足取りがヨタヨタして見えるけど、お腹が重いだけかい?

それでも、界隈に散らばってる親羊も子羊も一心不乱に、草を引きちぎる音をバリバリいわせてたべてたよ。

あぁっ、いけねぇ!遅刻だぁっ!

 

久しぶりに虹を見せて貰った。(更に続き)

 

風は高さによって様々の方向に強く吹いているらしい…と、雲の動きでわかる。ただ、銀色の雲は殆ど動かない。仰角は低いが遠くにあるようだ。

高さによって、雲の色も違った。目を引くのは夕焼色の濃いオレンジ色の大きな雲、北西の風に押されてぐんぐんと形を変えながら近づいてくる。低い雲らしく、その迫力に立ち尽くす。

もうひとつは、オレンジシャーベット色…黄色が強い。かなりのスピードで、龍が立ち上がった形で南に流れ、急に捻れたかと思うと、スーっと消えた。

雲の周囲が曖昧でほつれたような部分に、僅かに彩雲のように色づいている雲が、仰角の高い位置に沢山あった。

 

このまま見ていたかったが…何せビルの間に広々と見えるのは、これが最初で最後だろうから…しかし、駅に向かわなければならない。

強い風にのり、巨大な雲…積雲か…が押し寄せてきたが、太陽は更に低い位置から射している。やがて、縁が彩られた雲からは、上方向に天使の梯子が伸びはじめる…

西から北西の空は、まるで大学の学祭のように賑やかに、姿を変えつつ流れる。が…かの銀色の雲(?)だけは、小さくちぎれたアルミホイルのよう、微動だにしなかった。まさか…

 

久しぶりに虹を見せて貰った。(続き)

 

その時向かったドラッグストアは、東側が広い駐車場で空を見渡せる…と急いでみたが、荷物もあってもどかしい。一区画北側の駐車場にたどり着いた時には、七色の帯は急速に薄れ始めていた。

それでもまだ、欠けのない円弧を描いて、それじゃあね…と掻き消えてゆく。残ったのは一面灰色で、濃淡の雲が流れる東の空。少し北にふった西の太陽は、厚い雲に隠れたらしい。

ドラッグストアには自由に使えるラウンジがあり、買い物を済ませてから少し休ませて貰う。 東側は全面ガラスで、ここに座ってあの虹に逢えたらよかったな…と。

 

だが、駅に向かって歩きはじめると、また不思議な巡り合わせが待っていた。

再開発で、駅の東側から北側の古い建物が取り壊され、次々と更地になっている。その南側を歩くと、北西低くに沈もうとしている太陽が、雨上がりの空に強く射してきた。

多分この先も、この光景を見られる日は来ない。すぐさま建築に取りかかり、高い鉄板の囲いができる。

今あの位置の太陽と空は、今の更地とその先のビルの間が広々と空いていなければ、見えないのだ…

白銀の雲というけれど、本当に掛け値なしに銀色…としか云えない雲があった。

 

久しぶりに虹を見せて貰った。

 

昨晩から、この地方でも凄まじい風が吹き、時々激しい雨が降った。雨が一段落するのを待っていたら、八つどきになってしまった。

食料を仕入れに…と出かけた時には、まだパラパラと降っていたが、道行く人は傘を広げていない。

不審に思ったが、区画の北側の歩道を南に曲がってみて、皆が傘を畳んでいるのに納得した。傘がしなる程の風が、細かい雨を吹きつけてくる。

 

路上には、風にもぎ取られた樹の小枝や葉が、大量に散乱してタイヤに踏み潰されていた。哀れハクウンボクの蕾は、まるで何かの小さな実のように、ばらばらと歩道に転がっている。

 

風に向かい垂直に近い程に傘を寝かせ、時々前方を確認したながら歩く。スーパーに立ち寄った後、雨が止んで傘が畳むと、先程まで輪郭がわかる程度だった太陽の、日が射してきた。

バサバサのポンチョをまとめながら歩いていると、うめ爺! と呼ばれる。ん?この呼び方をするのは、ももたろう まるるん しかいない。

ほら、こっち見て! という声のままに、まず太陽を向き、反対側を見ると虹だ…

淡く幅広く、だが切れ目ない円弧で、比較的低い位置に見えた。おお…マスクの下で思わず唸ってしまった。

 

初夏の花から夏の花まで、ラッシュ状態…(その2)

 

アマ(亜麻)の僅かに紫がかった青い花も、風に吹かれて揺れているし、パンジーの原種(?)のビオラも広がって、沢山咲いている。

オランダイチゴ(?)の白い花も、よく見れば早くに咲いたものが、まだ薄緑色ながらも、花弁の落ちた中心部は既に円錐形に成長…

 

テッセンもそれぞれのお宅の庭で、薄紫、濃紫、白などで咲いている。ヤマボウシもあの赤い実になる部分を中心に、ナチュラルな緑、赤がかった緑、白と几帳面に四方に萼を広げている…

 

フウロソウの仲間も、葉が細かく裂けているヒメフウロは湿った場所に、ゼラニウム状の葉のピレネーフウロは、陽当たりの良い乾いた場所にと住み分けている様子…

ピレネーは以前は大学で勢力を伸ばしていたが、最近は住宅街の駐車場の周りなどで、年々蔓延ってきている。

春には愛らしい花だが、種が弾けて飛び散るので、いずれは外来種植物として駆除される日がくるのか…

他に、やはりゼラニウム状の葉で茎がストロー(中空)、淡いピンクの花のゼニバアオイ(?)も、多分フウロソウの仲間だろう。

 

淡く柔らかそうな色の若葉も、短期間に力強い緑色にと充実した。自然界は長い歴史のなか、泰然としている…